高齢者の転倒を防ぐ
65歳以上の高齢者の5人に1人が1年に1度は転び、年齢が上がるほど頻度も増すといわれています。転倒による骨折で寝たきりになることにより、認知症になるリスクや筋力低下のリスクが増加します。でも原因を知り、予防策を実行すれば、老後の生活を一変させかねない大きなリスクを確実に減らせます。そこで転倒を防ぐためのポイントや筋力トレーニングの方法を詳しく説明して行きます。
筋力低下がリスク
人とぶつかった弾みなど明らかな理由がなく、思いがけない場所で転んだ人は、1年以内に再び転倒をする可能性が高くなることも明らかになっています。それは既に老化や病気などの影響で転倒しやすい身体になっていると考えるからです。
転んでも無傷だったり、たいした傷でなければついつい気にしない方や、自分は大丈夫と思い込んでしまう方も多いと負います。高齢者の方は転倒に対して危機意識を持った方が、正しく転ばぬ先の杖になるはずです。
筋力判断基準
転倒の危険性を高める最大の要因は、下半身を中心とする筋力の低下です。筋力低下を判断する基準として以下の4つがあります。
ペットボトルの蓋を開けられるかというのがあります。握力は足腰の筋力と共に弱まっていくとされているからです。
他にも片足だけで15秒立っていられない(バランスを崩してふらふらしてもよい)。
歩くスピードが落ちて青信号の間に横断歩道を渡り切れない。
背中が曲がって小刻みな足運びですり足のように歩く。
上記が当てはまる方は危険性が高い。こうした状態は立ったり歩いたりが困難になるや、要介護の一歩手前かもしれません。
病気による転倒
立ちくらみやふらつきを生む脳血管障害やパーキンソン病・心不全など。
痛みやしびれを伴う腰部脊柱管狭窄症や腰椎症など。
就寝中にトイレが近くなる夜間頻尿など。
視力が低下する白内障など。
上記の患者さんは要注意です。また、薬を5種類以上併用されている方や、睡眠導入剤や抗精神病薬を使う人も転びやすくなります。それは睡眠導入剤や筋肉を緩める薬を服用しているケースが多く、その薬の効果が残っていてトイレに起きた時や朝立ち上がった時に転倒してしまいます。ですので、睡眠導入剤や筋肉を緩める薬を服用している方は用法をもう一度確認ください。
入院もリスクに
病気などが無くても、コロナ禍で自宅に長期間こもっていると気付かないうちに体力が落ちてしまいます。そのまま外出してしまいいつも通り階段を利用した際に、身体がついて行かずに転倒してしまうケースもあります。コロナ禍の筋力低下を防ぐ過ごし方は以前投稿した(https://asuka-shinkyu.net/784)を合わせてご覧下さい。
病気になり、入院するとアッという間に筋力が低下してしまいます。外出しないで自宅で生活しているだけでも筋力低下するのに、1週間でも入院してベットの上で生活していると本当に筋力が低下してします。また、転倒してお尻や太ももや頭を打つことにより骨折したりすると長期入院が必要となります。そうすると体力の減少に直結してしまいます。
転倒防止のために
転倒予防には、まずバランス機能を鍛える必要があります。最も手軽にできるのが、片足を床に付かない程度に上げるトレーニングです。左右60秒ずつを1日3回、毎日続けてください。日光に浴びると骨が強くなりますので、日光を浴びながらのウォーキングもお勧めです。
また、トレーニングを行って筋力をつけると同時に、自宅を整理整頓し物に躓かないようにする工夫と、転倒しても衝撃を和らげるためにカーペットを引くなどの対策もお勧めしています。
高齢者の転倒は人生を大きく狂わす場合があります。くれぐれも注意して健康で長生きできるようにしたいですね。